5スパン表の技術解説
51スパン表作成の流れ
511必要最小せいのスパン表作成の流れ
まず、ある対象部材において曲げ応力度、せん断応力度、たわみに関する許容値を設定します。次に、その対象部材にかかる荷重を算出します。そして、対象部材の曲げ応力度、せん断応力度、たわみを計算します。全てにおいて許容値以下となる、梁せいの中で最小値を「必要最小せい」として算出します。他の対象部材においても同様の作業を行い、スパン表を作成します。
512可能最大スパンのスパン表作成の流れ
5.1.1と同じ手順で、対象部材の曲げ応力度、せん断応力度、たわみを計算します。全てにおいて許容値以下となる、スパンの中で最大値を「可能最大スパン」として算出します。他の対象部材においても同様の作業を行い、スパン表を作成します。
52部材の許容応力度と曲げヤング係数
521許容応力度の算出式
522愛知県産木材の基準強度
523適用となる許容応力度と曲げヤング係数
53たわみ制限と変形増大係数
54荷重条件
541固定荷重
542積載荷重
543積雪荷重
544設計用荷重
固定荷重、積載荷重、積雪荷重に基づき、部位別に設計用荷重をまとめると、表 99のようになります。表中の◎印はその部位にかかる荷重として必ず該当するものを表し、○印はその部位にかかる荷重として選択的に該当するものを表しています。選択項目は建物仕様の違い(重い仕様/軽い仕様)、壁荷重の有無などに合わせて該当項目が決定されます。
本スパン表では屋根の分数勾配3/10~5/10が適用となりますが、設計用荷重として荷重が最大となる寸法を採用します。具体的には、常時は屋根勾配5/10、積雪時は屋根勾配3/10を採用します。詳しくは(財)日本住宅・木材技術センターの「木造軸組工法住宅の横架材及び基礎のスパン表[増補版]」をご覧下さい。これに則った考え方で採用寸法を決めています。 *1:水平投影面積当りの荷重。屋根勾配3/10のとき669N/m2、
屋根勾配5/10のとき716N/m2となります。
*2:水平投影面積当りの荷重。屋根勾配3/10のとき345N/m2 、
屋根勾配5/10のとき369N/m2となります。
*3:水平投影面積当りの荷重。屋根勾配3/10のとき52N/m2 、
屋根勾配5/10のとき56N/m2となります。
*4:屋根勾配3/10のとき666N/m2 、屋根勾配5/10のとき
613N/m2となります。
*5:屋根勾配3/10のとき1333N/m2、屋根勾配5/10のとき
1226N/m2となります。
本スパン表では屋根の分数勾配3/10~5/10が適用となりますが、設計用荷重として荷重が最大となる寸法を採用します。具体的には、常時は屋根勾配5/10、積雪時は屋根勾配3/10を採用します。詳しくは(財)日本住宅・木材技術センターの「木造軸組工法住宅の横架材及び基礎のスパン表[増補版]」をご覧下さい。これに則った考え方で採用寸法を決めています。 *1:水平投影面積当りの荷重。屋根勾配3/10のとき669N/m2、
屋根勾配5/10のとき716N/m2となります。
*2:水平投影面積当りの荷重。屋根勾配3/10のとき345N/m2 、
屋根勾配5/10のとき369N/m2となります。
*3:水平投影面積当りの荷重。屋根勾配3/10のとき52N/m2 、
屋根勾配5/10のとき56N/m2となります。
*4:屋根勾配3/10のとき666N/m2 、屋根勾配5/10のとき
613N/m2となります。
*5:屋根勾配3/10のとき1333N/m2、屋根勾配5/10のとき
1226N/m2となります。
55部位別の荷重状態と荷重負担範囲
551荷重状態
552荷重負担範囲
表 100の番号に合わせて、荷重負担範囲を以下に示します。(なお、荷重負担範囲の説明に用いる図は見易さを優先しており、図の架構が推奨される訳ではありません。)
- a) 床梁
-
- ⅰ) 床梁の両側に床が存在
-
- a)-1 (他の梁を受けない)床梁
- 表 100中のa)-1に該当する床梁の荷重負担範囲を図 12に示します。荷重状態としては、床の等分布荷重がかかります。このとき設計用荷重は表 101のようになります。
- a)-2 両側から他の梁を受ける床大梁
- 表 100中のa)-2に該当する床梁の荷重負担範囲を図 13に示します。荷重状態としては、床の集中荷重がかかります。このとき設計用荷重は表 101と同じです。
- a)-3 片側から他の梁を受ける床大梁
- 表 100中のa)-3に該当する床梁の荷重負担範囲を図 14に示します。荷重状態としては、床の等分布荷重と集中荷重がかかります。このとき設計用荷重は表 101と同じです。
- ⅱ) 床梁の片側のみに床が存在(床梁が外周に配置)
- b) 小屋梁
-
- ⅰ) 小屋束を介して屋根荷重を受ける小屋梁/小屋梁の両側に床が存在
- ⅱ) 小屋束を介して屋根荷重を受ける小屋梁/
小屋梁の片側のみに天井が存在(小屋梁が外周に配置) - ⅲ) 小屋束を受けない小屋梁/
小屋梁の片側のみに天井が存在(小屋梁が外周に配置)
56応力度、たわみの計算および判定方法
561曲げモーメント、せん断力、たわみの計算式
本スパン表では部材を単純梁とし、曲げモーメント、せん断力、たわみを求めるのに以下の計算式を用います。
- a) 等分布荷重
- 図 22のように部材に等分布荷重のみがかかる場合、各計算式は以下のようになります。
- b) 集中荷重
- 図 23ように部材に集中荷重のみがかかる場合、各計算式は以下のようになります。
- c) 荷重の組合せ
-
等分布荷重と集中荷重が存在する場合、それぞれの荷重により生じる曲げモーメント、せん断力、たわみを加算します。
複数の集中荷重が存在する場合、曲げモーメント、せん断力、たわみは以下のように扱います。- ⅰ)集中荷重が2点の場合
-
<曲げモーメント>
複数の集中荷重が存在する場合、最大曲げモーメントを単純に加算すると曲げモーメントを過大に評価してしまうことになります。従いまして、まず図 24のように、P1荷重点における曲げモーメントの合成M1合成と、P2荷重点における曲げモーメントの合成M2合成を考えます。 M1合成とM2合成を比較し、大きい方を集中荷重P1、P2による最大曲げモーメントとします。
<せん断力>
左右非対称に集中荷重がかかると、右から計算したせん断力と左から計算したせん断力が異なることがあるので、左右比較して最大せん断力を求めます。まず図 25のように集中荷重が2点かかる場合、P1によるL1間のせん断力Q1左、P1によるL2間のせん断力Q1右、P2によるL3間のせん断力Q2左、P2によるL4間のせん断力Q2右を以下のように計算します。 そして、左から計算したせん断力Q1左+Q2左と、Q1右+Q2右を比較し、大きい方を集中荷重P1、P2による最大せん断力とします。
<たわみ>
集中荷重P1による最大たわみδ1と集中荷重δ2による最大たわみを加算します。(δ1+δ2) - ⅱ)集中荷重が3点以上の場合
- 集中荷重が3点以上の場合、図 26のように集中荷重を等分布荷重と見なして、曲げモーメント、せん断力、たわみを計算します。 図 26のとき、見なし等分布荷重wは以下のようになります。
562部材の応力度とたわみの計算および判定
部材の曲げ応力度、せん断応力度、材端部のせん断応力度、たわみの計算および判定は以下のように行います。なお、曲げ応力度、せん断応力度、材端部のせん断応力度は長期常時と短期積雪時の荷重において判定を行い、たわみは長期常時の荷重において判定を行います。