一般社団法人 愛知県木材組合連合会

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平成28年11月

愛知県産材利用の手引き

愛知県産スギ・ヒノキの基準強度及び横架材スパン表

73スギ平角材の乾燥について

曲げ試験を実施した試験材から試験片を採取し、全乾法(103℃恒温器で48h乾燥)により求めた含水率からスギ丸太の含水率推定値を算出したところ95.8±22.1%(mean±SD、n=122)でした。以下の図のように全体の約4割が100%を超える高含水率丸太でした。特に、スギの場合には、心材の含水率が乾燥期間に大きく影響します。本試験で使用した丸太では、丸太を生産した林分ごとに心材含水率分布に特徴が見られ、多く試験材が高い心材含水率に偏る林分がありました。これがスギの乾燥を困難にする理由の一つです。 ss_20151015185455 この丸太の中から無作為に20本を抽出し、人工乾燥を行った結果、含水率が20%に達しない試験材が約半数ありました。そのうち、投入前に含水率100%を超えていた試験材のほとんどが乾燥終了後も25%を超える高い含水率でした。このことから、高含水率丸太から得られる製材については、天然乾燥により含水率を低減させてから人工乾燥へ移行するか、乾燥が比較的容易な小断面の部材に利用していくことが望ましいと考えられます。 ss_20151015185524 夏期から4ヶ月間の天然乾燥で、含水率20%まで低下した試験材は当初含水率が60%程度の低含水率材であり、多くは1年前後の乾燥期間を必要とします。このため、平角材のように断面寸法の大きくなるほど、多種の断面形状でまとまった数量を短期で納材することはかなり難しくなると考えられます。建築材に使用する材料の断面寸法を効率化することやこのスギ材特有の性質を踏まえて対応することが利用側に求められると考えられます。