一般社団法人 愛知県木材組合連合会

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平成28年11月

愛知県産材利用の手引き

愛知県産スギ・ヒノキの基準強度及び横架材スパン表

1本書について

11本書作成の背景及び目的

平成26年の全国の新設住宅着工戸数は892,261戸、うち木造は489,463戸で、木造率は54.9%です。本県では、着工戸数55,888戸、うち木造は58.1%の32,477戸で、全国同様半数以上が木造となっています。
しかしながら、木造軸組住宅における国産材利用率は3割程度であり、部位ごとにみると、柱では5割程度、梁や桁といったいわゆる横架材では1割程度と言われており、住宅での県産木材の利用は、まだ十分とは言えない状況にあります。
一方で、本県の森林は高齢級化が進んでおり、人工林蓄積は3千6百万㎥(平成24年)を超えて年々増加しつつあります。これは、年間の素材生産量11万3千㎥(平成24年)と比べても十分に豊富な量であり、まさに利用が待ち望まれている状態と言えます。
県産木材の利用は地域の森林整備を促進し、水源のかん養や県土の保全など森林の持つ多面的機能の発揮や、山村地域の活性化につながります。また、木材は、炭素固定により地球温暖化防止に寄与する、再生産が可能な資源として循環型社会の形成に貢献する、心や体の健康に良い影響を与えるといった評価が高まってきています。
これらのことから、木造住宅において県産木材を利用することは、木材の供給者、需要者双方にとって大きなメリットがあると言えます。本書は、住宅等を設計・計画する際の実務的な資料として活用され、県産木材の利用が促進されることを目的としています。

12本書の構成

住宅で、特に横架材で県産木材の利用が進まない要因の一つに、県産木材の強度性能が明らかでないことがあげられます。本書ではまず2章で、今年度おこなった強度試験の結果と、そこから導き出された愛知県産スギ・ヒノキの基準強度を示します。これにより、安心して愛知県産材を使っていただけるようになります。
次に3章と4章で、この基準強度をもとに作成した愛知県産スギ・ヒノキ横架材スパン表を示します。スパン表とは、木造軸組構法の住宅において、床梁、小屋梁などの横架材の断面寸法やスパンを決定するための早見表のことです。このスパン表を使用することで、木造住宅の設計の際におこなう構造計算を省略することができます。
5章から7章では、スパン表の技術解説と計算方法について記述しています。なお、本書のスパン表では、対象とする材の等級区分や寸法について、本県で出現頻度の多いと思われるものに限定して示しています。これは、設計上要求される部材を標準化し、需給の流れをスムーズにすることを意図しているものです。
巻末には、あいち認証材製品カタログを掲載しました。構造材だけでなく、内装材、家具などにも県産木材を使っていただけるよう、様々な魅力ある製品を紹介させていただきます。このカタログは、住宅はもとより、公共施設等の中大規模建築物や土木工事等にもご活用いただけるものとなっています。

13本書の改訂について

本書は、今後得られた知見や調査結果等により適宜改訂していく予定です。さらなる強度試験データの蓄積や、スパン表掲載部位の追加など、より信頼性が高く使いやすい手引きを目指していきます。本書についてご質問やご意見等ありましたら、愛知県農林水産部林務課(連絡先は奥付を参照)までご連絡ください。