一般社団法人 愛知県木材組合連合会

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平成28年11月

愛知県産材利用の手引き

愛知県産スギ・ヒノキの基準強度及び横架材スパン表

76和小屋について

今回作成した「県産材利用の手引き」に収録したスパン表では、「和小屋」の垂木・母屋のスパン表掲載を見送りました。これは、在来軸組構造で用いられる和小屋組にいくつかのバリエーションが存在しており、これらの整理を行ったうえでスパン表を作成することが望ましいと考えたことによります。
「和小屋」とは、「洋小屋」と対になる定義と考えられます。通常、軒桁の間に小屋梁を架け、この上に小屋束を建て母屋と棟木を支える架構で、軒桁・母屋・棟木の上に垂木を載せ、屋根下地(野地板)を介して上部の荷重を支えます。 ss_20151016213632 これまでは、1尺~1.5尺ピッチで比較的小断面(45×45程度)の垂木をかけ、3尺ピッチに配置した3寸角材程度の母屋で垂木を受け、小屋束を介して母屋からの荷重を小屋梁で支える形式が主流であったと考えられます。また小屋梁には湾曲した丸太材もよく使われていました。さらに、梁スパンの小さい架構や茅葺き屋根などの場合では、下図のような「さす組(合掌)」もしばしば用いられました。 ss_20151016213702 今日でも和小屋は幅広く使われていますが、小屋梁は平角材が一般的となってきています。また、屋根下地が挽板の野地板から構造用合板に置き換わるにつれ、断面サイズの大きな垂木や母屋を使い、母屋ピッチや小屋梁ピッチを広くとった和小屋も多くみられるようになってきました。 ss_20151016213745 この方式は、これまでの和小屋に比べ屋根裏空間が利用しやすくなる利点があります。屋根下地として厚板の構造用合板を用いれば、垂木ピッチをさらに広げられるので、垂木のかわりに断面の大きな登り梁を用い、母屋を使わない登り梁方式の小屋組が用いられることも増えてきています。 ss_20151016213815